蛇にピアス 金原ひとみ

「スプリットタン」……ピアスによって蛇のように分かれた舌を持つ男と出会い、私は“身体改造”に魅せられていく。痛みを体に刻み込む私、死にたいパンク、殺したいサディスト。マッドな奴らの、体にまとわりつくような夏。

「題材がボディピアスで、若い女性で、村上龍が絶賛した。*1
そんな風評から想像してた通りの小説。でもピアスは痛そうだしセックスはがんばってるし、よく書けてると思った。情け無用の女ドラゴンです。

金原:そういえば出版社の人に聞きましたが、『蛇にピアス』を買う方はおじさんが多いらしいですよ(笑)。(文藝春秋

そうなんである。おっさん連中、例えば新聞の書評なんかでは『蛇にピアス』がずいぶんともてはやされているのだ。THE・迎合。
 逆にネットのワカモノ界隈では圧倒的に綿矢りさ“りさたん”が推されている。「いかにも」な図式ではある。


・コトバの問題
ところで、作品の評価とそれほど関係ないのですが、ちょっと引っ掛かる点があります。
性交場面の描写について。
「鏡を見ながら精子を拭き取った」
精子を拭いたティッシュを捨てようと…」
これって正しくは“精液”ですよね。“精子”は精液中に含まれる極小の物体。例えばおかゆを食べるときに、「米粒を食べる」という表現は適切ではありません。まぁこれはこの小説に限った問題ではないし、実際これを正しく使い分けてる人には会ったことないんですが。些細な問題でした。0.05mmのツッコミ。

*1:選出コメント読んだら、そんなに絶賛ってほどでもありませんでした。